玄米は身体に良いと言われる一方、デメリットや身体に悪いという説もあります。
本当はどうなのでしょうか?
玄米には「毒」があるっていう噂も聞いたんだけど…本当なの?!
たしかに「玄米体に悪い説」を聞くこともあります。しかし、わが家では15年以上玄米食を続けており体に良い変化があったのは事実。
実際のところ私の周りで長年玄米を食べ続けている人が多くいますが、そのせいで体調が悪くなったという声は聞きません。
今回はこうした体験に加えて「玄米体に悪い説」「玄米の毒」は本当なのかを検証し解説しました。
玄米のデメリット「食べにくい」「炊くのが面倒」といった点の解決策も紹介いたします。
玄米についての正しい情報を知ることで、より安心して玄米を食事に取り入れることができますよ。
玄米には人体に有害なヒ素が含まれている?
お米にはヒ素が含まれています。
ヒ素は糠部分に多く含まれるので、白米よりは玄米のヒ素濃度が高いことになります。
そう聞くと心配になると思いますが、ヒ素は自然環境中に広く存在しており、様々な食品には微量のヒ素が含まれています。
普段の食事で玄米を食べる分においては、身体がヒ素を解毒するので過度に心配する必要ありません。
また、ヒ素は水に溶けやすい性質なため、良く研いでから玄米を炊くことでヒ素の量を減らすことができます。
子どもは大人に比べるとヒ素をはじめとした有毒な物質を解毒する力が弱いので、影響を受けやすいと言われていますが、バランスの良い食生活をしていれば問題ありません。
不安であれば、子どもには玄米以外の白米なども合わせてバランスよく食べさせるのがおすすめです
参考:食品中のヒ素の健康影響評価(リスク評価)について|食品安全委員会
農林水産省|食品中のヒ素に関するQ&A
玄米は残留農薬のおそれがある?
玄米のぬか部分に農薬が残りやすいのは事実です。
玄米は表皮を剥がずにそのまま残っているから、その部分に農薬が残りやすいんですね
しかし、玄米に含まれる良質な食物繊維が便秘を解消し、農薬などの毒素の排泄を促します。
また、胚芽に含まれるフィチン酸も残留農薬の排泄を促す働きがあります。
農薬の「毒」よりも、「玄米の毒素を排出する力」のほうが勝っているということです
▼玄米の残留農薬について、より安心できる情報が欲しい人はこちらの記事
≫【玄米の農薬が心配という人へ】玄米の気になる農薬、大丈夫か調べました
食品衛生法の基準値を超えて農薬が残っていたものはこれまでにありませんし、玄米の農薬を過度に心配する必要はないと言えますが、より安心して食べたいのなら無農薬・減農薬米を選ぶのもベターでしょう。
確かに玄米の方が農薬は残りやすいが、玄米は毒素排出力が強いので過度に心配する必要なし
玄米は消化に悪い?
玄米には白米の約6倍もの食物繊維が含まれており、便秘予防や血糖値上昇の抑制などに有効です。
しかし、食物繊維が豊富な分「消化しにくい」と言われます。
そもそも、食物繊維というのは「消化しない」のです。だから腸のお掃除ができるんです
玄米は消化しにくい。体質・胃腸の弱い人・子ども・高齢者は気をつける場合もあり。
消化に悪いのは玄米だけの話ではなく、肉はもっと消化が悪いですし、野菜やきのこなどの食物繊維が豊富なものは消化が悪いのです。
胃腸が弱い人や子どもや高齢者などの中には、玄米などの消化に時間がかかる食べものを食べると、便秘や下痢になってしまう人もいます。
そういう人への対策方法としては
①よく噛んで食べる。最低1口30回、100回は咀嚼したい
②できるだけ柔らかく炊いて食べる
③白米を混ぜて食べる
こういったことに気をつけるとよいでしょう。
よく噛んで食べることで、唾液に含まれる消化酵素によって消化吸収しやすい状態になり、ビタミン・ミネラルなどの栄養素をしっかり吸収することができます。
それでも、体に合わないというは無理せず今は食べないという選択をしてくださいね
「玄米ご飯」を食べられない人でも、食べられる「玄米」があるかもしれません。
玄米を使ったお菓子や甘酒などを取り入れるという手もありますよ。
▼玄米を使ったおやつ【玄米トースト】は歯の弱い人や子供にもおすすめ。
≫「和の完全栄養食おやつ【玄米トースト】!無添加・で幼児にもオススメ!」
▼手作りで簡単にできる【玄米パン】は、生の玄米で作ります
≫「玄米を使った生米パンの作り方!【マドモアゼル愛先生】の動画レシピを見て作ってみた」
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玄米のアブシジン酸とフィチン酸は「毒」になるの?
「玄米=毒」と言われる原因の代表的なモノが「フィチン酸」と「アブシジン酸」という2つの成分。しかし実はどちらも、小麦やとうもろこしなどほかの食品にも含まれている成分なのです。
1.アブシジン酸
アブシジン酸とは、稲が外敵から自分自身を守るために、発芽に適切な時期まで発芽を抑制しておく「発芽抑制因子」のことです。
アブシジン酸は人間のミトコンドリアを傷つけるという噂がありますが、じつは毒性は認められませんでした。
アブシシン酸の食品を経由したばく露により問題となる毒性所見は認められなかった。また、アブシシン酸は、植物ホルモンの一種であり、植物体内に分布しており、既に広く摂取されている。
アブシシン酸 – 食品安全委員会|内閣府
以上のことから、アブシシン酸は、農薬として想定しうる使用方法に基づき通常使用される限りにおいて、食品に残留することにより人の健康を損なうおそれがないことが明らかであると考えられる。
注:「アブシジン酸」「アブシシン酸」どちらでも呼ばれることがあります
アブシジン酸の安全性は内閣府の食品安全委員会によっても報告されており、抗炎症作用・動脈硬化や糖尿病の予防・改善に役立つ可能性も言われているのです。
2.フィチン酸
「フィチン酸は栄養吸収を阻害し、ミネラル不足の原因になる」という噂はフィチン酸のもつキレート作用にありました。
フィチン酸は抗酸化力(キレート作用)を持ちますが、強力な作用のため必須ミネラルの吸収を阻害するとも言われています。
しかし、最近の研究ではフィチン酸の抗がん作用・血栓症予防効果・体内の毒素を排出する(デトックス)作用という機能性が注目されています。
強力な毒素排出力は、放射性物質のセシウムや、農薬すらも排出するのでメリットのほうが大きいと言えます。
ミネラル不足に陥るほどの量でありませんので、普段の食事で玄米を食べる程度で心配する必要はありません
- 普段の食事で食べる分にはアブシジン酸やフィチン酸の「毒」を心配することはない
- 浸水させておくことで毒素は軽減される
玄米はまずい?食べにくい?
体に良いのはわかっていても「玄米ってまずくて、食べにくいんでしょ?」と避けている人もいるかもしれません。
玄米には表皮がついているので白米と同じような食感を求めると「かたい・食べにくい」と感じる人もいます。
- 白米と同じように炊くとまずかったり、かたく炊ける可能性大。
- 炊き方を工夫するか、白米を混ぜるor分づき米にすると食べやすくなる
しかし、
- 炊飯器や鍋を変えてみる
- 浸水時間を長くとる
- 分づき米にするか、白米を混ぜる
これらによって食べやすさをアップすることはできます。
わたしも最初玄米を炊いたとき、やはり「かたい!」と感じました。
最初は一人暮らし用の安い炊飯器で、白米と同じ要領で玄米を炊いていておいしくなかったんです
ですが上記のことに気をつけ、今では玄米を食べて「かたい、まずい」と感じることはありません。
むしろ噛んでいるうちにうま味が出てきて、ぷちぷちとした食感も好きです。
(白米だと物足りなく感じるほどです)
玄米がかたくて食べにくい・美味しくないと感じる方は炊き方を見直してみてくださいね。
・ちなみにわが家では「平和圧力鍋」という玄米用の鍋で炊いています
≫「玄米が美味しい圧力鍋!【平和圧力鍋】の魅力を語りました」
玄米は炊くのが面倒?時間がかかる?
玄米は白米よりも炊くのに時間や手間がかかって面倒だというデメリットがあります。
たしかに、玄米は表皮がついているので浸水時間や炊く時間を長くとる必要があり、その分調理に時間がかかるのは事実です
ですが、白米を混ぜて炊いたり、発芽玄米を選ぶことで浸水時間を短縮することができます。
白米と同じように炊けるタイプの玄米もありますよ▼
また、浸水の時間なしで炊ける圧力鍋もありますので、「すぐに炊きたい!」というときは助かります。
まとめ【より安心して玄米を食べるために】
玄米の「毒」は、毎日の食事で食べる程度では心配する必要ないということがわかりました。
より安心して日々の食事で玄米を取り入れるためにできることをまとめると、こちらになります。
- しっかり浸水させる(できれば12時間以上)
- 食べやすい硬さに炊く(圧力鍋や炊飯器、白米を混ぜるなど)
- 充分に咀嚼して食べる(1口最低30回以上)
- 無農薬米を選ぶ (残留農薬の心配がない)
しっかり浸水させることで、玄米の毒といわれる【ヒ素・アブシジン酸・フィチン酸】のデメリットを軽減することができます。
また、十分に浸水させることで炊き上がりの食感も良くなります。
何においてもそうですが、「良いところ」と「悪いところ」があるものです。
メリットしかない食べものというものはありませんし、「食べてはいけないもの」というのも存在しないと考えています
メリットとデメリットを理解して、合うと思ったらぜひ玄米を取り入れてみて下さいね。
▼玄米の残留農薬について、より安心できる情報が欲しい人はこちらの記事
≫【玄米の農薬が心配という人へ】玄米の気になる農薬、大丈夫か調べました